みなさん、こんにちは。

今、久しぶりに雨がやんでいます。果たして、太陽は姿を見せてくれるのでしょうか?


さて、今日はベルギーで使われている言語について書いてみようと思います。

ちょっと難しいかもしれませんが、どうぞ最後まで、お付き合いください。


ベルギーの公用語

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みなさんは、ベルギーでどんな言葉が使われているか知っていますか?

欧州連合の主要機関が集中する、EUの首都とも呼ばれる、ベルギーの首都ブリュッセルは、イメージどおり、マルチリンガルな都市です。

しかし、首都ブリュッセルを除き、ベルギーには、実際、ポリグロット(多言語話者)な人はあまりいないのが、ルクセンブルクやスイスなどの周辺国との違いです。

公用語は、フラマン語*(オランダ語の方言の一種)、フランス語、ドイツ語ですが、4つの言語地域に分かれています。

首都ブリュッセルはフランス語とフラマン語の2言語地域、その他はほぼ2分されフラマン語圏とフランス語圏にわかれ、ドイツ国境付近にはドイツ語圏があります。

19世紀の建国以来、単一国家であったにもかかわらず、フラマン語圏とフランス語圏間の対立は激しく、現在の体制「連邦立憲君主制国家」により、フランデレン地域とワロン地域の二つに分け、首都ブリュッセルを「二言語地域」とすることとなりました。

*注:「オランダ語」と表記される文献もありますが、ここでは「標準オランダ語ではなく、ベルギーフランドル地方で使用されるオランダ語」という意味で「フラマン語」とします。


使われている言語と地域
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上記のとおり、ベルギーでは、複数の公用語を同等なレベルで使える人は非常に限られています。

首都ブリュッセルでは、「日中とそれ以外の使用言語比率が変わる」というおもしろいデータもあります。

それは、もともと、フランス語母語話者が多い地域を、「二言語使用地域」と定めたため、日中仕事でフラマン語とフランス語を使う、ブリュッセル外部から来る人の二言語使用比率と、ブリュッセル住民の二言語使用比率は違う、ということです。

また、驚くべきことに、ドイツ語が公用語であることを知らないベルギー人がいるのです!

これは、私がまだフランスにいた時のことでしたが、偶然、ドイツ語地域を知っていた私の説明に「ドイツ語???」と戸惑うベルギー人を見るのは、ちょっと驚きでした。

もちろん、私の出会ったベルギー達が、偶然知らなかった、ということもありますが、フラマン語・フランス語母語話者のいずれも、自国の「ドイツ語話者」の存在を知らない人がいるということは、他人事ながら、少し心配になってしまいました。


学校での言語教育
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フラマン語地域では、フランス語の学習は、初等教育および一部を除き中等教育の間、義務付けられています。

しかし、実際には、フランス語をバイリンガルレベルで使いこなせる人は少なく、年齢が上がるとともに、オランダ語と比較的近く、文法も簡単で、しかも世界中で通じる、英語学習へと流れて行ってしまいます。

一方、フランス語圏とドイツ語圏であるワロニーでは、第二言語こそフラマン語とされていますが、実際には、義務教育現場では、フラマン語とドイツ語のいずれかを、初等教育で選択することになります。

これは、フランス語の義務教育機関が長いフラマン語圏と、全く違う状況ですが、実際には、70%以上の子供がフラマン語を選択するようです。


多言語国家として

政治的にもめ続け、「政権不在が世界最長」の不名誉な記録を作ってしまったベルギー。

あくまで持論ですが、フラマンとワロンの対立は、実際には、政治的なことよりも、本当の多言語国家として成り立っていないところにも、端を発しているのではないでしょうか。

もちろん、例えば、スイスにも文化言語的違いによるすれ違いや対立はあります。しかし、複数言語が、比較的うまく共存できているように思います(実際には不満もたくさんあるようですが・・・)。

そして、多言語国家として、ポリグロットな国民が増えることにより、結果として、同国内の、異文化を理解するのに役立っているような気がするのです。

ベルギーが、フランドル地方の独立という形で終えるのか、それとも共存という道を歩んでいくのか。



以前にも書いたように、言葉を学ぶこととは、言語だけでなく、文化的背景、習慣、考え方などを学ぶことです。

例え国が同じでも、文化的背景が違えば、当然、様々な違いがあります。

つまり、「多言語であること」は、「多文化であること」でもあるのです。

全ては、それぞれの言語話者が、他の言語の習得をすることによって、言葉以上のものを理解することができるかどうか、そこにかかっていると思います。


最後まで読んでくださって、ありがとうございました。

追伸:とうとう太陽は出ず、また雨が降り続いています。

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